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 映画の話

 DOMINIQUE SANDA

映画について話し出したら止まらない、という人は結構多いだろう。

私もその中のごく小さな一人。さて、何から話そうか。やはり記念すべき第一回目だからと思えば思うほど、どれを最初にもってくるか、非常に悩む。

しかし、目を閉じると無言のうちに私しかいないでしょうと、圧倒的な存在感で訴えて来る美しいフランスの女優、あのヘーゼル・グリーンの瞳を持つドミニク・サンダが現れる。

そう、私はある単館上映で「暗殺の森」を見て以来、彼女の虜となった。撮影当時の彼女は18歳だったと後で知って驚いた。私には38歳くらいの落ち着きに見えていたから。あの広い額の奥から睨みつけるような独特の視線は、何かなんでもないことや取るに足りない一日をたちまち意味深長にしてしまう威力がある。

単なる美人ではなく、側にいると(もちろんスクリーンを通しても)これまでの常識や生活がいとも簡単に崩れてしまいそうな一種の不安感を覚えさせる人である。ドミニク・サンダ ファンに一様に言えることは、誰もが自分のもの、自分一人の彼女だと思い込んでいることだ。

彼女にはそういう呪縛するとでもいったような不思議な魅力がある。また、あの低い声がいい。上質のシルクや皮を思わせるような柔らかい響き。

17歳の時、ロベール・ブレッソン監督が「やさしい女」で映画デビューさせる前まで彼女は、『ヴォーグ』や『グラマー』などのモデルをしていた。しかも正真正銘パリ生まれ(1951年3月11日)上流階級の出で、絵を描くことが何よりも好きだった彼女は美術学校に行きたかったところ、親の反対に会い、デザイン学校へ進んだという。

当然アメリカでも何作か映画化されたのだが、ただの、もしくは謎の美人といった役どころが多く彼女の個性を活かし切れなかった。やはりヨーロッパの女優というイメージが強い。日本では以前パルコのCMに起用されたので、それをリアルタイムで見た年齢層には知名度は高いことと思う。が、近頃のハリウッド映画好みの方には知られていないか、受け入れられないかも知れない。

「メークをすればするほど平凡になってしまう」と自身も語っているが、飾らない素顔が本当に綺麗な人で、私も彼女の赤い唇や加工の強い巻毛を見ると何か彼女でないような、ピンと来ない感じがしてしまう。

本名はドミニク・ヴァレーニュ。芸名をサンダにしたのは「Sで始まる言葉が好きだったから」という。そんな偶然のたわいもない共通点が私自身にとってはこの上もなく嬉しかった。(私事ながら私も好きなSで始まる筆名を持つので)

2作目のデ・シーカ以降、ベルトルッチ、ヴィスコンティ、カヴァーニなど巨匠の作品に次々と出演し、ガルボの再来、現代のガルボとも言われた。

私はガルボも好きだがドミニク・サンダはワン・アンド・オンリー、彼女しか在り得ないので、この表現はどうかと思う。

76年にマウロ・ボロニーニ監督の「フェッラモンティ家の遺産」でカンヌ映画祭主演女優賞を受賞している。彼女の私生活についても他に資料はあるが、先も話した通り、永遠に私ひとりの彼女なので、彼女が誰と付き合い、誰と結婚し、誰の子供があるかなど、実のところ興味はなく、あまり知りたくもないので、皆さんもご同様と思い割愛する。

<出演作品>

「やさしい女」(68)「初恋」(69)「暗殺の森」「悲しみの青春」(70) La notte dei fiori「刑事キャレラ/10+1の追撃」(71)L'impossible objet(72)「マッキントッシュの男」「華麗なる挑戦」(73)「ステッペンウルフ」「家族の肖像」(74)「1900年」Eredita Ferramonti(76)「善悪の彼岸」「世界が燃えつきる日」(77)La chanson de Roland(78)Le navire Night, Utopia(79) 「太陽のエトランゼ」「二人の女」La naissance du jour, Les ailes de la colombe(80)L'Indiscretion(81)Une chambre en ville(82)Poussiere d'empire(83)Matelot512(85)「肉体と財産」(86)Les mendiants, Il treno(87)Amori(88)


 

MY FAVORITE CINEMA

1、天使 by パトリック・ボカノウスキー

2、家族の肖像 by ルキノ・ヴィスコンティ

3、暗殺の森 by ベルナルド・ベルトルッチ

4、殺し by ベルナルド・ベルトルッチ

5、欲望 by ミケランジェロ・アントニオーニ

6、去年マリエンバートで by アラン・レネ

7、淑女は何を忘れたか by 小津安二郎

8、グランドホテル by エドムント・グールディング

9、善悪の彼岸 by リリアーナ・カヴァーニ

10、カメレオンマン by ウディ・アレン


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