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お化粧の話

一昨年(’97)の秋、短い休暇をとってオーストラリアへ行った時、一目惚れしてしまった自然化粧品のお店のことをお話しようかと思います。

私が行ったのはシドニーですが、それほど大きな街ではないので、ご存知の方も多いかも知れません。一番の繁華街にあり、その重厚な外装でひときわ目立つクィーンズ・ヴィクトリア・ビル(通称QVB)の地下にその店はあります。

ビル内は洋服や靴、アクセサリーといったファッション関係のブティックや雑貨屋、また足休めとなる喫茶店やお菓子屋がひしめくショッピングモールで人気のスポットとなっていますが、軽い観光向きで、それほど洗練されたものが結集しているといったイメージはなく、私も暇をもてあまし独りただブラブラと歩き回っていたのですが、カフェオレで一息ついた後に目に飛び込んで来た

『LUSH』という店の色鮮やかなディスプレイと心地よい香りに、ついつい店内へと誘われてしまいました。

市場に並ぶ野菜の木箱のようなものが壁にしつらえてあって、そこには綺麗なオレンジやピンク、水色をした大小の球体がゴロゴロと並んでいました。

最初はそれが食べ物なのか何なのかわからないほどでした。

よく観察すると、それはバス・ボールと呼ばれる入浴剤であることが判明し、花びらや蕾、天然のアロマオイルなどが入っており、種類別に区切られ、親切なポップカードもあり、それぞれ夢見心地になるような素敵な名前がついていました。

木箱の端に駄菓子などを入れるような茶色の紙袋を束にしてぶらさげてあり、自由に取って好きなだけバス・ボールを量り買い出来るようになっていました。

何個か手に取って落ち着いてから、ようやく、そう広くない店内を見渡すと、入口右付近は何やら大きなボウル数個にペースト状のものがあふれんばかりに盛ってあるので近寄ってみました。匂いも見た目も果実のババロアそのもの。なんとそれは、顔などに塗るパックの類でした。今度は奥の方へ引きつけられるように進んで行くと、まるでチョコレートやチーズ そのものが冷蔵庫にあるようにして並んでいるではないですか。こちらは何かと思えば、バスオイルなんだそうで。

猫足つきのバスタブに浮かべればその優雅に溶けていく様がさぞや似合うことだろうと思われました。

そしてその隣には、直方体の大きな棒がいくつも何段かになって壁の方から手前へと傾斜をつけてディスプレイされており、それは好きな量だけその大きさに切り売りしてくれる石鹸でした。石鹸フリークの私としては、その前に嬉しさのあまりヘナヘナと座り込んでしまいそうでした。

日本には何故このような新鮮な化粧品屋がないのでしょう。薬事法にもとづく医薬部外品としての化粧品にはいろいろと難しい問題があるのでしょうが、何か残念な気がします。安全性を得ることで失うものは多いかも知れません。弱い抗菌人間より強いナチュラリストでありたい・・・とまでここで考えるのは飛躍しすぎでしょうか。

『LUSH』には他にも化粧水や乳液、クリームなど、トータルなラインでの基礎化粧品が揃っていました。

グリーンと黄色と黒と白を基調にしたロゴ&パッケージデザインでラッピングも紙袋もシンプルでセンス良いものでした。そこは、清潔感、清涼感、自然の安らぎと美しさに満ちていました。

なお、この『LUSH』はイギリスを発し、世界9ヵ国55店舗で展開されており、日本第1号店も自由が丘につい先頃オープンしました。




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