- 童話 -
雪だるまさんのくつ下   冴生いずみ

今年もクリスマス・イブがやって来ました。嬉しいことに、珍しく雪のたくさん積もったクリスマスです。そして今も、ぼたん雪が天から、ふわふわと降りて来ています。

もうすぐ夜になるのでしょう、街の灯が一つ二つともり出して、郊外の家々にも、引いたカ−テンから薄明かりの漏れる窓があちこちに見え出しました。

その窓の一つに、女の子の顔が二つ寄り添って見えています。仲良しの舞ちゃんと歩ちゃんの姉妹なのです。舞ちゃんは七才の、歩ちゃんは五才のクリスマスなのです。二人とも小っちゃなお目めを真ん丸にして、雪の降りしきるお外を眺めているのです。

そこへお母さんがやって来て、「ハイハイ、舞ちゃん、歩ちゃん」と呼びました。その手には、大きさのちょっとだけ違う毛糸のくつ下を一つずつ持っていました。舞ちゃんと歩ちゃんは飛んで行きました。それが何かわかっていたからです。お母さんは言いました。

「覚えてる?一年前のクリスマスに、サンタさんがこのくつ下にいっぱいプレゼントを入れてくれたこと・・・」

舞ちゃんも歩ちゃんもコクンとうなずいて笑っています。

「また来てくれるかしらね。来るといいわね。」と言いながら、お母さんはくつ下を小さな手に渡しました。

「いい子にしてたら来るんでしょ?」と舞ちゃんが言いました。

「そうね。」とお母さんは微笑みました。そして、今日のごちそうを作るために台所へ行きました。

歩ちゃんはまた、窓の方へ駆け寄って行きました。実は、とっても気になることがあったのです。舞ちゃんもそれを知っていました。それは、お昼に二人して一生懸命に作った“雪だるま”さんのことだったのです。

「おねえちゃん、雪だるまさん、だいじょうぶかな」

「うん」

「雪だるまさん、寒くないのかな?」

「ん−・・・」お姉ちゃんの舞ちゃんは、返事に困りました。へっちゃらよ、雪とお友達なんだものと言いたかったのですが、窓越しに見る雪だるまさんは、とても寒々と見えたからです。

夕食の時間になって、お父さんが大きなデコレ−ションケ−キを買って帰って来ました。テ−ブルの真ん中に飾りました。ろうそくの明かりとピカピカのクリスマスツリ−、フライドチキンにオレンジジュ−ス・・・

ワイワイニコニコ夜も更けて、子供はもう寝なくてはいけません。それでも今日は特別にお許しが出て、ずいぶん遅くまで起きていました。

「おやすみなさい」とお母さんが、パチンと子供部屋の電気を消して行きました。二人のベッドの枕元には、キチンとくつ下が並んでいました。けれども、歩ちゃんは眠れません。歩ちゃんは一大決心していたからです。そして、しばらくして舞ちゃんと一緒にそれを実行しました。

夜中にお父さんとお母さんがプレゼントを抱えて、そっと子供部屋に入って来ました。すると、どうでしょう。置いてあったはずのくつ下がありません。そうです。二人の姉妹はその夜、小さい頭を寄せあって、自分たちのプレゼントはもらわない覚悟で、雪だるまさんにくつ下をあげることに決めたのでした。そして、くつ下の中にはお願い事の手紙が一枚。大きなマフラ−と帽子と手袋もください。と、たどたどしい字で書いていたのです。

クリスマスの朝、舞ちゃんと歩ちゃんは、びっくりして飛び起きました。大好きなプレゼントは枕元にちゃ−んと並んでいるし、窓の外を見ると、雪だるまさんまでお願いどおりになっていました。 

どこかで見たことのあるようなと思うのは、お父さんだけかしらと思いながら、お母さんは微笑んで、走ってくるおチビさんたちを迎えました。